自己評価と学校評価について
    ナザレ幼稚園長 瀬野哲裕
 日本の幼稚園と保育園は「自己評価と学校評価」を年に一度行わなければなりません。
 文科省と厚生労働省は、それを通達して、その評価によって、所轄する幼稚園や保育園の「評価の序列」を定めます。
 「自己評価と学校評価」が「評価の序列」を定める機能は、学校の成績簿が「生徒の序列」を定める機能とよく似ています。
 しかし成績や学力の評価は、(評価によって選別し一流学校から上場企業や公務員に進む)一部の生徒を生み出す役には立つけれど、その他の多くの生徒の「未来の人生」とは連動しません。それは現在周知の事です。
 学校の成績評価から《「学校秀才のエリート公務員が産まれる」事はあっても、「自己評価と学校評価」が生徒や園児達の「人生の幸福」を定めることはありません。
とは言っても、当局からの通達です、ナザレ幼稚園や横浜ナザレ保育園も「自己評価と学校評価」を実施する事にしました。
評価は、マークシート方式による多項目の採点で行います。その採点は客観性と公平性を兼ねるために必要なのでしょう。
 でも本当の「自己の価値と、学校の価値」は、当局の通達である「自己評価と学校評価」のマークシートの採点では評価できません。それで「文科省と厚生労働省の評価項目」の中に「横浜ナザレ保育園とナザレ幼稚園独自のチエック項目」を付け加えることにしました。
ナザレ幼稚園と保育園は、独自の自己評価項目として、
 先ず第一に、チエック項目の採点に【①(自己の価値)を高める努力、 ②(自己の価値)の認識、 ③(自己の価値)と他者の価値との連帯】を付け加えることにしました。
 それは、…乳幼児期の第一期(0歳から二歳迄の、母親と行動を共にしながら)母は乳幼児の中に「自己の命が流入する」と感じ、乳幼児は母親を自己の一部であると感じる「特質的な時期」の「課題と、その問題」の「解決の成果」である…《「私は、世界で一番大切な宝なのだ」そして「この世は、必要な時には何時でも助けてもらえる安全な所なのだ」と、心の奥深くで感じる》情動の評価です。
 この「特質的な時期」の母と子は、「あなたに対する良い行い」を私自身の願い(情動)として選択します。
 乳幼児は十分に愛される中で「私は宝であり世界は良い処だ」と、心の奥深くで感じる事ができて始めて、第一期の「特質的な時期の発達課題」の問題を解決して、人間は「自己と世界に対する自信」を獲得します。
 この「特質的な時期」の発達課題の問題解決から「人間の基本的形態の特色」の中の…… (人間の第一の特性)である【「他の人に対する善い行い」それ自身を、(自己自身の願いとして)選択する力(Human rights)】が生まれます。自己評価には、「人間の第一の特性」の評価を欠かすことができません。
 次いで第二に【①(善と悪)を識別する能力の育成と、 
 ②(悪は善に勝るが故に善である)と「善に感動する情動」の獲得】をチエック項目に付け加えることにしました。
 それは、…乳幼児期の第二期(三~五歳迄)の、(母親とは別にある自己自身)の発見と、そこから生まれる「競争による発達」の課題に遭遇する「特質的な時期」の「課題とその問題」を、第一段階の発達の課題の解決《「あなたに対する良い行い」を私自身の願いとする選択》と引き継ぎ連結して《「両親や先生に愛されるには?」「どんな人になったら良いか?どんな事をしたら良い?」と想い・考えて》出会う者の心を動かす(
感動を伴った)《二つの矛盾する課題の同時解決》を図る情動の評価です。
 両親を始め大人は皆、子ども達が行う「二つの矛盾する課題」の「同時解決の奇跡」に出会って、(矛盾する課題の)解決に挑戦する「子ども達の想い」に感動しない者はいません。
 乳幼児達は、《二つの矛盾の同時解決図る「自己の想い」》を両親や先生に(感動と共に)受け止められて(両親や先生達が受け止めた感動に比例して)「自己の想いは報われた!この世は信頼を置くに価する所だ!」と、発達課題の問題を解決し、(生命の進化の頂点に立つ人間だけが行う奇跡の下で)人間の第二の特色である「世界に対する信頼と連帯」を獲得します。
 人類に固有な「成長と発達の予定表」の第二期の「特質的な時期」の課題の問題解決から…… (人間の第二の特性)である【世界を信頼して、互いに連帯する力(Human rights)】が生まれます。自己評価には、「人間の第二の特性」の評価を欠かすことができません。
 続いて第三に【①(善は悪に勝る)が故に善である、その確信、 ②(善は悪に勝る)が故に「約束や義務を先に、楽しみを後に」する情動】をチエック項目に付け加えることにしました。
 それは、…続いて迎える乳幼児期の第三期(六~八歳迄)の幼児期後期に、乳幼児が「昨日は今日の、今日は明日の続きである」そこにある《「原因と結果」の関係は道理である》と理解して「約束や義務を先に、楽しみを後に」できる特質的な時期の「課題と、その問題解決の成果」である《「善は悪に勝る」ことに「大切な意味や価値」を発見した乳幼児達が「心に抱いた想い」》は、教師達の《「善は悪に勝る、それは真理である」》と語る言葉と「整合しなければならない」と言う確信とその情動の評価です。
 この時、乳幼児達は(かく語る)父や教師達の姿の中に「最後には真理が必ず勝利する」と告げる「父や教師達の心からの声(真理の声・真言……空海)」を発見して「自己の想い」を確信に変えなければなりません。その発達課題の問題解決の中から、人間の第三の特色である「未来への希望」が誕生します。
 かくして「人間の基本的形態とその特性」の中の… ③(人間の第三の特性)である【未来に希望を見出して生きる力(生存権The right to live)】が第三期の「特質的な時期」に誕生します。乳幼児教育に携わる教師の自己評価には、「人間の第三の特性」の評価も又欠かすことができません。
 人類が誕生して十数万年間、「善は最後には必ず悪に勝つ」と信じ、そこに希望を見出して歩き続けてきた《人類の発達の道》は人類発達の歴史となって、現代では人類に固有な「成長と発達の予定表」に確実に組み込まれました。
 人類は『成長と発達の予定表』に従って、乳幼児の発達課題の問題解決に努めなければなりません。
 私達は家族と(善を愛し悪を嫌って)連帯し、人類の「発達と成長の過程」である【人類の基本的人権Fundamental human rights】の道をたどり、【未来に希望を見出して生きる力(生存権The right to live)】を迎えに歩いて行かなければなりません。